本記事は8月5日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。
ライフラインと交通
| 項目 | 状況 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 断水 | 4市町で約4万4,000戸。最大時は4県15自治体・約10万8,100戸 | 国土交通省・8月4日9時 |
| 解消見込み | 甲佐町は8月初旬、八代市・宇城市・氷川町は8月末 | 国土交通省・8月4日 |
| 応急給水 | 給水車133台(国交省18、日本水道協会64、自衛隊51)。給水拠点は熊本市8か所、八代市12か所、宇城市9か所 | 内閣府・8月1日17時/報道・8月3日15時 |
| 停電 | 8月1日に全面解消(最大約4万8,530戸) | 内閣府・8月2日8時 |
| 都市ガス | 八代地区で供給停止が継続。南部の約5,900戸は復旧に1〜2週間の見込み | 報道・8月3日15時 |
| 鉄道 | 九州新幹線は熊本〜鹿児島中央で運転見合わせ、熊本〜新水俣は8月中の運転取りやめ。鹿児島本線 宇土〜八代は取りやめ、熊本〜宇土は減便 | JR九州・8月4日 |
| 道路・空港 | 高速道路9区間が通行止め(E3九州道 松橋IC〜えびのICほか)。阿蘇くまもと空港と熊本市電は通常運行 | 内閣府・8月1日17時/報道・8月3日15時 |
被害の状況
人的被害は、熊本県発表で死者38人(8月4日、災害関連死の疑いを含む)。このうち17人は勤務中に被災して亡くなったとされる(厚生労働省・8月4日)。消防庁は8月2日8時時点で死者36人、行方不明者11人、重傷95人、軽傷等106人と発表しており、数値は発表主体と時点によって異なる。住家被害は約1万3,000棟とされる(8月4日・報道による)。
避難者は7,500人余り(8月4日・報道による)。8月1日の県発表では避難所229か所・9,228人であり、1週間で減少してきている。ホテル・旅館への2次避難は73施設・最大2,200人分で8月3日に受付を開始。応急仮設住宅は宇城市50戸・氷川町20戸が8月3日に着工し、入居目標はそれぞれ9月下旬・9月上旬。県営住宅29戸の無償提供は8月6日から申込受付が始まる。
余震は8月4日5時32分にM4.1・最大震度4が発生し、8月5日未明も1時17分、3時59分、4時46分に有感地震が観測されている。気象庁は活発な地震活動が続いているとして、引き続き強い揺れへの注意を呼びかけている。
気象面は、8月3日に熊本市で40.3度を記録し、県内観測史上最高かつ県内初の酷暑日となった。県内18地点のうち10地点で観測史上最高を更新し、宇城市39.2度、八代市39.0度。同日午後4時までに熱中症の疑いで43人が搬送され、うち4人が重症(速報値)。熊本地方気象台は4日・5日とも熊本地方で最高気温38度を予想している。加えて、猛烈な勢力に発達した台風13号が7日ごろ東シナ海に達し、7〜9日に九州へ最接近する可能性が報じられている。
医療機関の健全性とモバイルファーマシー
| 項目 | 状況 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 被災医療機関 | 県内91施設から被害報告、うち54施設が復旧待ち | 厚生労働省・8月4日6時30分 |
| うち断水継続 | 50施設(宇城市10施設、八代市21施設) | 同上 |
| 高齢者施設 | 856施設で被害。断水319、停電55、ガス停止144 | 同上 |
| DMAT | 約600人を派遣、83隊が活動中 | 同上 |
| モバイルファーマシー | 3台が稼働。熊本県薬剤師会(宇城市小川防災拠点センター・8月1日〜)、福岡県薬剤師会(八代市総合体育館・8月2日〜)、宮崎県薬剤師会(氷川町健康センター・8月2日〜) | 薬事専門紙報道 |
医療機関の復旧を阻んでいるのは主として断水であり、断水の解消見込みがそのまま地域の医療機能の回復時期を規定している。モバイルファーマシーは処方箋応需に加え、避難所での熱中症・静脈血栓塞栓症の予防啓発、二酸化炭素濃度の測定、室温30度以下の維持まで担っている。透析施設の個別の稼働状況は、本日7時時点で公表資料からは確認できていない。
前日からの主な変化
前日(8月4日8時時点)からの変化は次のとおり。
- 断水が約4万5,280戸から約4万4,000戸に減り、市町村別の解消見込み(甲佐町8月初旬、八代市・宇城市・氷川町8月末)が初めて日付として示された
- 首相が8月末までの断水の完全解消を関係閣僚に指示し、政府は激甚災害指定の方針と200億円超の予備費使用の閣議決定方針を表明した
- 死者38人のうち17人が勤務中の被災であったことを厚生労働省が明らかにした
- 被災医療機関の集計が整理され、報告91施設のうち54施設が復旧待ち、うち50施設は断水が理由と示された
- 台風13号が7〜9日に九州へ最接近する可能性が報じられ、猛暑に重なる気象リスクとなった
新たに使える支援・特例
政府は8月4日、今回の地震を激甚災害に指定する方針を示し、200億円を超える本年度予算の予備費使用を閣議決定する考えを明らかにした。首相は断水の8月末までの完全解消を関係閣僚に指示し、飲料水や簡易型クーラーのプッシュ型支援を継続している。労働・社会保険関係では、雇用保険の基本手当の特例措置と、雇用調整助成金をはじめとする雇用関係助成金の相談窓口が引き続き案内されている。本日7時時点で、雇用調整助成金の新たな特例や、社会保険料・労働保険料の納期限延長についての新規発表は確認していない。激甚災害の指定が正式に告示された段階で、記事020の更新を推奨する。
産業保健職への示唆
死者38人のうち17人が勤務中の被災であったという事実は、労災の認定と遺族対応が多くの事業場にとって現実の課題であることを示している(記事019)。断水の解消時期が市町村単位で示されたことで、通水した事業場は設備の再稼働手順に進む段階に入った(記事027)。一方、八代・宇城・氷川では8月末まで給水所通いが続くことが確定しており、その往復時間を勤務のなかにどう置くかが今週の実務になる(記事030)。台風13号の接近を踏まえ、屋根の応急処置は6日までに終える前提で組みたいが、38度の予想のもとで駆け込み作業が最も危険である(記事029)。
参考
- 令和8年熊本地震に係る被害状況等について(第16報)|国土交通省
- 熊本地震被災地の断水は8月末までに解消へ 金子国交相|tenki.jp(FNN)
- 熊本地震 今月末までの断水の完全解消を指示 高市首相|NHK
- 高市首相 熊本地震を「激甚災害」に指定する方針|NHK
- 熊本地震 県内54の医療機関で断水など被災続く 勤務中の死者は17人 厚労省|khb東日本放送
- 熊本地震1週間 38人死亡 災害関連死いかに防ぐか喫緊の課題に|NHK
- 熊本市40・3度、観測史上最高 熊本県内初の「酷暑日」|熊本日日新聞
- 熊本地震 ライフライン情報|熊本日日新聞
- モバイルファーマシー、炎天下の支援活動|PHARMACY NEWSBREAK
- 熊本県熊本地方を震源とする地震情報|日本気象協会
- 令和8年熊本地震に係る災害対策本部会議|熊本県
- 令和8年熊本地震による被害状況等について|内閣府防災