ご挨拶

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教授挨拶 立石 清一郎

 労働者の健康リスクが最大化するのは職場による管理がなされていないときです。多くの労働者はすでに一定程度の安全を確保された環境で仕事をしていることと思います。しかしながら、災害が発生時というのはどうでしょうか。指揮命令系統は混乱し、がれき・化学物質など危険なものの散乱、局所排気装置など安全装置の故障、突如発生する新しい心身の負担の大きい業務、など無数の健康障害リスクにさらされることになります。災害時の労働者の健康影響を最小化する学術体系を災害産業保健といいます。
 災害時には様々な健康障害リスクの適正化を素早く行うことが必要であるため、総合的な産業医の能力を有した『総合産業医』であることが必要で、自身の自己研鑽を続けるとともに、社会の中でより多くの災害に役割を発揮できる産業医を育成するという社会的使命を果たすべく人材育成を目的として、災害時の研究および研修会等の開催などを精力的に行っております。
 災害産業保健は我が国においては見過ごされてきた新しい分野です。しかし、国際的にはすでに災害時の対応者の健康確保は当たり前のように行われています。災害という想定外を想像し、平時からその準備がなされることが当たり前になるよう、活動しております。

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