本記事は8月21日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。
発災25日目。断水は5,000戸を割り込み、8月末の解消目標に向けた最終段階に入った。一方で、休業4日以上の労働災害が1日で11人増え、DMATの現場活動は25隊から14隊へ縮んだ。復旧の主役が支援チームから事業場側へ移りつつある局面である。
ライフラインと交通
| 項目 | 状況(出典・時点) |
|---|---|
| 断水 | 県内3市町 計約4,900戸。宇城市2,910戸、八代市1,021戸、氷川町961戸。最大は4県15自治体の約10万8,100戸(国土交通省第46報・8月20日7時30分時点) |
| 断水の見通し | 3市町とも管路破損による漏水の調査・修繕中で試験通水を実施。8月末の断水解消に向けて応急復旧中(同) |
| 応急給水 | 給水車 計129台。八代市・八代生活環境事務組合・宇城市を中心に配置(同) |
| 停電 | 8月1日に全面解消 |
| 都市ガス | 八代市は復旧率100%(倒壊家屋を除く) |
| 鉄道 | 九州新幹線 熊本〜新水俣、鹿児島本線 宇土〜八代、肥薩おれんじ鉄道 八代〜水俣が運転見合わせ。鹿児島本線の代行バスは8月19日から宇土〜小川で運行中、8月26日に宇土〜八代へ拡大予定(国土交通省第46報・8月20日8時30分時点) |
| 高速道路 | 九州自動車道は8月14日6時から全線一般車両通行可。南九州西回り自動車道 八代南IC〜田浦ICは8月18日6時から一般車両通行可、八代JCT〜八代南ICは橋梁損傷で通行止め継続(同・8月20日6時時点) |
| 一般道 | 国道219号 新萩原橋は8月下旬に一般車両通行可の見込み |
被害の状況
熊本県第36報(8月20日14時現在)によると、死者は38人。内訳は災害に起因する死者36人、負傷の悪化等により死亡した可能性のある人1人、関連を調査中の人1人とされている。前回確認した第34報(8月19日8時現在)では計39人・調査中2人であり、調査中の1人について整理が進んだ結果と読める。負傷は重症29人・中等症96人・軽症65人の計190人で、このほか分類未確定が170人。重症は前回の27人から2人増えている。
住家被害は計3万5,048棟(全壊1,555棟、大規模半壊138棟、半壊1,627棟、一部破損1万5,084棟、分類未確定1万6,644棟)。全壊は精査に伴い増え続けている。避難所は69か所・避難者2,925人(11市町村)で、八代市1,588人、宇城市680人、氷川町296人。避難者は3,000人を下回った。
応急仮設住宅(建設型)は276戸・15団地で全戸が着工済み。熊本市50戸、八代市69戸、宇城市50戸、氷川町75戸、美里町12戸、甲佐町20戸。賃貸型は21市町村で受付が続いている。
医療機関の健全性とモバイルファーマシー
| 項目 | 状況(厚生労働省第55報・8月20日10時現在) |
|---|---|
| 被災医療機関 | 92施設。断水は最大88施設→現在17施設。浸水・停電・医療用ガスはいずれも0、その他7施設。八代市26、熊本市15、宇城市14 |
| 透析 | 最大13か所が実施困難。12か所が再開、1か所は引き続き困難で他医療機関が対応 |
| DMAT | 14隊が現場活動、33隊がコーディネーション(第54報では25隊・42隊) |
| DPAT | 10隊(本部4・現地6) |
| その他チーム | JMAT 32チーム123人、JDAT 5チーム、JRAT 16チーム64人、DHEAT 6チーム、日赤医療救護班22班、保健師等チーム35チーム |
| 災害支援ナース | 第55報は「延べ308名派遣」と累計で表記。第54報の「90名以上」とは集計の切り方が異なり単純比較はできない |
| 薬局 | 被災142施設、営業不可5、建物被害88、断水59、停電22(8月19日14時時点) |
モバイルファーマシーは宮崎県薬剤師会が8月9日、熊本・福岡県薬剤師会が8月12日で運用を終えており、本日7時時点で再稼働の発表は確認できていない。薬局の断水59施設は前報から動いておらず、調剤の空白は地域に残ったままである。DMATの現場活動が25隊から14隊へ減った点は、支援の縮小局面が再び進んだサインとして押さえておきたい。
前日からの主な変化
- 断水が約5,429戸から約4,892戸へ減少し、5,000戸を割り込んだ。宇城市2,910戸は前報から変わらず、残るのは漏水修繕を要する区間とみられる
- 休業4日以上の労働災害が70人(8月18日19時時点)から81人(8月19日19時時点)へ、1日で11人増加。死亡17人は据え置き
- 厚生労働省が8月20日、雇用調整助成金の特例を実施すると公表した
- DMATの現場活動が25隊から14隊へ縮小。DPATは10隊で横ばい
- 避難者が3,037人から2,925人へ減り、3,000人を下回った
新たに使える支援・特例
厚生労働省は8月20日、令和8年熊本地震に伴う雇用調整助成金の特例を実施すると公表した(リーフレットLL080820企01)。休業等の初日が令和8年7月28日から令和9年1月27日までのものが対象で、生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮、地震発生時に設置後1年未満の事業所も対象、支給限度日数は1年間で100日、残業相殺の取扱いを撤廃、教育訓練の実施率が10%未満の場合の助成率引下げも撤廃するとされている。熊本県内の事業所については、最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても対象とし、計画届の事後提出を認める追加措置が示されている。適用の可否は所轄の労働局・ハローワークへの確認が必要である。
産業保健職への示唆
休業4日以上が1日で11人増えた事実は、連休明けの報告集中が続いていることを示す。自社と協力会社の未提出案件の点検を、今週のうちに終えたい。熱中症警戒アラートは8月21日を対象に熊本県を含む13県へ3日連続で発表され、熊本市の予想最高気温は37度。午後の降水確率は60%で、雷雨後に屋根・足場作業へ戻る順序をあらかじめ決めておく必要がある。DMATの現場活動が半減した一方、薬局の断水は59施設で動いていない。支援が薄くなる分、服薬と受診の確認は職域側が担う範囲として見込んでおきたい。気象庁は今後1〜2か月程度、最大震度5弱程度以上の地震への注意を呼びかけている。
参考
- 令和8年熊本地震における被害と対応について(第46報)|国土交通省
- 災害・防災情報:令和8年熊本地震における被害と対応について|国土交通省
- 令和8年熊本地震に係る被害状況等について(第36報)|熊本県
- 令和8年熊本地震に係る被害情報|熊本県
- 令和8年熊本地震について(第55報)|厚生労働省
- 令和8年熊本地震について|厚生労働省
- 令和8年熊本地震に伴う雇用調整助成金の特例を実施します|厚生労働省
- 雇用調整助成金の特例措置リーフレット(LL080820企01)|厚生労働省
- 令和8年熊本地震 ポータルサイト|気象庁
- 明日8月21日(金)の熱中症警戒アラート|ウェザーニュース
- 熊本市の今日明日の天気|日本気象協会 tenki.jp
- 【報道資料】熊本市災害対策本部会議資料|熊本市