260816_【定点観測】令和8年熊本地震 8月16日7時時点 — 産業保健のための状況整理

本記事は8月16日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。

発災から20日目。お盆連休の最終日で、明日17日から行政窓口・医療機関・多くの事業場が同時に動き出す。

目次

ライフラインと交通

区分8月16日7時時点で確認できる最新の状況
断水国土交通省第41報(8月15日10時時点)で県内約2万7,400戸。八代市約2万1,584戸、宇城市4,098戸、氷川町1,704戸。これとは別に通水済み約1万6,500戸が漏水調査のため使用自粛を要請されている。熊本日日新聞は8月15日16時現在で八代市2万860戸・宇城市約4,100戸・氷川町1,490戸と報じており、数値は情報源で異なる
応急給水給水車147台(国土交通省18台、日本水道協会120台、自衛隊9台)。前日の132台から増加。宇城市は仮設給水タンク(飲用可・24時間)と給水車(8時30分〜17時)を併用し、1人1日4リットル以内
停電8月1日に全面解消
都市ガス八代市は復旧率100%。全8,892戸のうち家屋倒壊65戸を除く8,827戸で供給可能
通信本日7時時点で新たな支障の発表は確認していない
高速道路九州道は松橋IC〜えびのIC全線で一般車両通行可(8月14日6時から、一部対面通行)。南九州道の八代南IC〜田浦ICは緊急車両のみで、一般開放は8月後半見込み
鉄道九州新幹線(熊本〜新水俣)とJR鹿児島本線(宇土〜八代)は運転見合わせで8月中の再開は困難。肥薩おれんじ鉄道(八代〜水俣)は8月10日から代行バス
バス・空港・港湾高速バス7事業者10路線、路線バス1事業者12路線が運休。熊本空港は通常運用。八代港の穀物バースは8月12日から利用再開

被害の状況

熊本県の被害情報第28報(8月15日8時時点)によれば、死者は39人で、内訳は災害に起因する死者36人、負傷の悪化または身体的負担による疾病で死亡した可能性のある人1人、災害との関連を調査中の人2人。負傷は重症26人、中等症95人、軽症57人、分類未確定176人で、人的被害は計393人とされている。住家被害は計3万880棟(全壊1,283棟、大規模半壊9棟、半壊1,153棟、一部破損1万1,038棟、分類未確定1万7,397棟)で、調査の進捗に伴い前日より増えている。

避難所は81か所、避難者は3,223人(11市町)。八代市が避難所38か所・1,821人、熊本市が15か所・271人と、八代市への集中が続く。応急仮設住宅は整備決定222戸13団地に対し着工205戸で、入居は9月上旬から10月中旬の見込み。ホテル・旅館への2次避難は八代市・宇城市などで受付が続いている。

医療機関の健全性とモバイルファーマシー

項目8月15日10時現在(厚生労働省第50報)前日との比較
被災医療機関92施設。断水20施設(最大88)、その他7施設。浸水・停電・医療ガスはいずれも解消断水21→20施設
透析県内94か所中、最大13か所で実施困難。8月11日時点で12か所復旧、1か所は困難だが他医療機関で対応変化なし
DMAT県内14隊が活動、コーディネートチーム71隊19隊→14隊
DPAT20隊(本部6隊・現地14隊)19隊→20隊
JMAT/JDATJMAT32チーム123人、JDAT8チームJMAT36チーム136人→32チーム123人
災害支援ナース52名(医療機関3施設、避難所19か所、介護施設2施設)46名→52名
薬局被災142施設(8月14日14時時点)。営業不可6、建物被害88、断水59、停電20断水59施設で横ばい
モバイルファーマシー宮崎県薬剤師会が8月9日まで、熊本・福岡県薬剤師会が8月12日までで終了。8月13日から熊本県薬剤師会が避難所でおくすり相談を実施台数の運用は終了済み

医療側は急性期の隊を減らし、生活の場に人を置く構成へ移った。薬局の断水は59施設で動いておらず、明日17日は連休明けの調剤が集中する。避難所での新型コロナウイルス感染症は八代市10人、宇城市8人が確認されている(8月14日時点)。

前日からの主な変化

  • 断水は約2万7,400戸だが、これとは別に通水済み約1万6,500戸が漏水調査のため使用自粛を要請されている。「解消」と「使える」が一致しない局面に入った。
  • 避難者は3,223人・81か所(8月15日8時)で、前日の3,684人・82か所から461人減。
  • DMATは県内活動14隊、JMATは32チーム123人へ縮小。一方で災害支援ナースは46名から52名に増え、重心が避難所・介護施設へ移った。
  • 熱中症警戒アラートは県内で4日連続の未発表。本日の熊本市は曇り時々雨、最高31度・最低24度、降水確率40〜50%で、判断の軸は暑さから降雨と足元・高所の条件へ移る。
  • 復旧作業に伴う労働災害は死亡17人・休業4日以上29人で、8月13日19時時点の数値から更新されていない。連休明けに報告がまとめて上がる可能性がある。

新たに使える支援・特例

本日7時時点で新たな発表は確認していない。既報として、労働保険料等および障害者雇用納付金の申告・納期限延長が8月12日告示で八代市・宇土市・宇城市・氷川町を対象に適用されている(延長後の期限は「災害がやんだ日から2か月以内」で別途告示)。特定非常災害の指定政令(8月7日公布・施行)では、行政上の権利利益の満了日が令和9年1月27日まで延長されている。雇用調整助成金の特例措置は8月10日時点で厚生労働省が検討に入ったと報じられているが、適用の告示は本日7時時点で確認できていない。新たな特例が出た場合は記事020の更新を推奨する。

産業保健職への示唆

第一に、「断水が解消した」という連絡だけで事業場の再開や従業員の生活支援を切り替えないこと。通水済みでも漏水調査中で使用自粛が要請されている区域があり、宇城市は「漏水調査のため水が出ることがあるが飲用は控える」旨を案内している。再開判断は通水の有無ではなく自治体の使用可通知で行う。

第二に、支援チームの構成が急性期から生活期へ移った。DMATとJMATが減った分の相談は職域に戻ってくる。明日17日は外来・調剤・行政窓口が同時に混むため、通院と手続きのための時間を勤務のどこに置くかを今日のうちに決めておきたい。

第三に、暑さの指標が消えた日ほど作業中止の判断が属人的になる。本日は降雨予想があり、屋根・高所・足場の作業条件が変わる。気象庁は今後1か月程度、最大震度5弱程度以上の地震と土砂災害への注意を呼びかけており、雨と余震が重なる前提で当日の中止基準を確認しておくこと。

参考

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