081_新幹線が9月18日に戻ると決まった日 — 出張・受援・単身赴任の暫定運用に、初めて終わりの日付を入れる

8月27日、九州新幹線の熊本〜新水俣間について、9月18日始発からの運転再開見込みが示された。発災から1か月、鉄道の復旧に初めて具体的な日付が入った。あわせて鹿児島本線 宇土〜八代の10月中旬頃という目標も報じられている。この記事は、8月に「当分のあいだ」として決めた出張・受援・単身赴任の暫定運用を、9月18日という日付を軸に組み直したい人事総務・経営層・産業保健職に向けて書いている。組み直しには2週間強しかない。そして「戻る」は「元通り」ではない。

目次

決まったことと、決まっていないこと

報道によれば、再開日は9月18日の始発から。ただし本州方面と直通する列車は震災前の9割程度の本数にとどまり、新八代駅付近では速度を落とした運行となる。鹿児島中央駅を発着する列車では最大9分程度の時刻変更が生じるとされる。被害の大きかった水無川橋りょうでは、断層の影響でずれた橋桁をジャッキアップして据え直す応急処置が進められていると報じられている。

決まっていないことも多い。通常ダイヤに戻る時期は示されていない。鹿児島本線 宇土〜八代は10月中旬頃を目指すとされる段階で、日付は確定していない。肥薩おれんじ鉄道 八代〜水俣についても、本日7時時点で再開時期の発表は確認できていない。つまり9月18日以降も、八代以南・以西の移動は代行バスと道路が主役であり続ける。記事053で整理した二段階の代行バス運用は、まだ終わらない。

「9割の本数」が実務に効くところ

9割という数字は、席が1割減ることを意味しない。減便は特定の時間帯に寄る。朝の上りと夕方の下りが薄くなれば、日帰り出張の帰着時刻が変わる。所要時間の最大9分という変更も、乗り継ぎが1本ずれれば30分以上の差になる。

さらに、再開直後は積み残した需要が集中する。9月18日はシルバーウィークの直前であり、帰省・観光・出張が重なる。加えて、政府がとりまとめたとされる支援パッケージには九州地方への旅行代金を一部補助する「九州応援割」が含まれると報じられており、実施時期によっては同じ時期の需要をさらに押し上げる。再開したのに指定席が取れない、という状態が数日続くことは想定しておきたい。「新幹線が動くから出張を戻す」と社内に告知するのは、席が取れることを約束したのと同じに受け取られる。告知は「9月18日から運行再開の見込み。ただし本数は9割程度、時刻は変更あり。予約状況を見て個別に判断する」という形にしておくのが安全である。

受援と応援要員の交代日を、9月18日に寄せない

被災地に応援要員を送っている事業場では、交代のタイミングを鉄道の再開日に合わせたくなる。しかしこれは避けたい。理由は3つある。

第一に、再開直後は最も座席が取りにくい。第二に、交代日を一点に集めると、引き継ぎが全員同時になり、現地の負荷が上がる。第三に、9月18日はあくまで見込みであり、直前に変更される可能性が残る。交代日が動かせない形で組まれていると、変更がそのまま欠員になる。

現実的には、交代を9月中旬と下旬の2回に分け、移動手段を鉄道と航空・車で分散させておく。記事074で整理した撤収条件の考え方は、そのまま交代計画にも使える。帰任後1か月の面談設定も、交代日をずらせばその分ずれることを忘れないでおきたい。

単身赴任・帰省と、移動中の災害の扱い

8月のあいだ、帰省の頻度を落としたり、会社が航空券や車の手配を代替してきた事業場は多い。9月18日以降、これを元に戻すかどうかは、費用の問題であると同時に労務管理の問題でもある。

出張中・赴任先と自宅の間の移動中に負傷した場合、業務災害・通勤災害のいずれに当たるかは、移動の目的・経路・会社の指示の有無によって判断が分かれる。会社が経路や手段を指定していた期間と、本人の裁量に戻した期間とでは、判断の材料が変わる。したがって「いつから通常の取扱いに戻したか」を、日付入りで記録に残しておく必要がある。制度の切り分けそのものは記事045で整理している。認定の可否は所轄の労働基準監督署に確認してほしい。

産業保健の側から見ておきたいこと

移動が戻ることは、負担が減ることと同義ではない。この1か月、代行バスと車での長時間移動を続けてきた従業員は、疲労が積み上がっている。鉄道が戻ると「もう大丈夫」と扱われ、8月に認めていた時差出勤や在宅の措置が一斉に外れやすい。外すなら、外す前に一度、通勤時間と睡眠時間を聞き取っておきたい。目安として、8月に片道の通勤時間が30分以上延びていた人、車通勤に切り替えた人、代行バスの始発に合わせて起床時刻を1時間以上早めた人は、個別に確認する対象に入れておく。

また、この1か月は熱中症警戒アラートが連日発表され、屋外・車内の待ち時間そのものが負荷になっていた。9月に入っても残暑は続く見込みで、代行バスの待機場所に日陰と水があるかは、鉄道が戻るまで確認し続ける項目である。

もう一点。9月18日は、応急住宅の入居が本格化する時期と重なる。住まいが変わる人と、通勤手段が変わる人が同時に出る。名簿の更新は、鉄道の再開だけを理由に行うのではなく、居所の変更とまとめて9月上旬に一度かけるのが効率的である。

実務でそのまま使えるチェックリスト

#やること期限の目安担当
1社内告知を「再開見込み・9割の本数・時刻変更あり」の3点セットで出す9月上旬人事総務
28月に出した出張抑制・経路指定の通達に、解除予定日と解除条件を追記する9月上旬人事総務
3応援要員の交代を9月中旬・下旬の2回に分け、移動手段も分散する9月5日まで本社・派遣元
4交代日が動いた場合の欠員対応(誰が残るか)をあらかじめ決めておく9月5日まで本社・派遣元
5「通常の出張取扱いに戻した日」を日付で記録し、通達番号を残す復帰と同時人事総務
6単身赴任者の帰省頻度・手段の暫定措置を、いつまで続けるか決める9月10日まで人事総務
78月の時差出勤・在宅措置を外す前に、対象者の通勤時間と睡眠を聞き取る解除前産業保健職
8八代以南・以西の拠点は、代行バス前提の勤務を10月以降も維持できるか確認する9月中旬各拠点
9居所変更と通勤経路変更をまとめた名簿更新を9月上旬に一度かける9月10日まで人事総務
10再開が延期された場合に、どの決定を差し戻すかを一覧にしておく9月10日まで人事総務

参考

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