260808_【定点観測】令和8年熊本地震 8月8日7時時点 — 産業保健のための状況整理

本記事は8月8日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。

発災から12日目。8月7日、政府は激甚災害(本激)と特定非常災害の指定政令を閣議決定した。断水は約3万6,730戸で、前日からの減少は約150戸にとどまる。八代市の都市ガスは来週中に概ね復旧の見通しが示された。一方で最低気温30度前後の夜が14日まで続く予想で、避難所の空調は要請に対して充足していない。

目次

ライフラインと交通

項目8月8日7時時点の状況
断水約3万6,730戸(熊本県災害対策本部・8月7日14時、前日から約150戸減)。八代市・宇城市・甲佐町・氷川町。国の資料では8月7日10時で約3万6,600戸。最大約10万8,000戸から減少
断水の見通し8月末を目途に応急復旧。残る3市町で試験通水中。給水車178台(国18・日本水道協会102・自衛隊58)
停電8月1日に全面解消。個別の復旧依頼は8月6日で2件
都市ガス八代市で供給停止約8,900戸のうち約4,000戸が再開。北部は約3,000戸中約2,800戸、南部は約5,900戸中約1,200戸。来週中に概ね復旧の見通し
下水道8月6日までに全箇所の点検完了。宇城市・氷川町で応急復旧中
鉄道九州新幹線 熊本〜新水俣、鹿児島本線 宇土〜八代は当面運行取り止め(8月中の再開困難)。肥薩おれんじ鉄道は8月10日から代替バス運行予定
道路九州道 松橋IC〜えびのIC、南九州道 八代JCT〜田浦ICが全面通行止め。8月9日の週に宮原SA〜坂本PA間で緊急車両の通行開始見込み、8月後半に一部制限を伴いつつ一般車両も通行可能となる見込み。県管理道路は5路線5か所で全面通行止め
バス九州産交・産交バスの八代方面と高速バスは全便運休。8月8日から一部で迂回運行を再開する予定

被害の状況

熊本県災害対策本部の8月7日14時時点の集計では、死亡38人、重症21人、中等症62人、軽症49人、分類未確定30人。このほか災害関連死の可能性1人、災害との関連を調査中1人。住家被害は計1万7,306棟(全壊699棟、半壊1,025棟、一部破損6,897棟ほか)で、前日の1万5,697棟から調査の進捗に伴い増えている。

避難所は125か所、避難者は6,651人(12市町)で、前日の6,721人から70人の減少。ホテル・旅館への宿泊支援は申込868件のうち88件がマッチング済み、349件が調整中。建設型応急仮設住宅は宇城市50戸・氷川町20戸が着工。賃貸型(みなし仮設)は12市町村、住宅の応急修理は17市町村で受付中。避難所の暑さ対策として業務用エアコンは11か所の要請に対し4か所が設置済み、5か所が設置中とされている。

厚生労働省は8月7日12時時点で、災害復旧作業に伴う労働災害を死亡17人・負傷11人と集計している。負傷は8月5日時点の7人から増えた。震度6強以上の市町を管轄する消防の熱中症搬送は8月6日で15件(7月29日の50件がピーク)。

地震活動は大局的には緩やかに減少しているが活発な状態が続き、熊本地方気象台は8月4日から1週間程度、最大震度5強程度以上の地震に注意を呼びかけている。気象は14日までおおむね最高気温35度前後・最低気温30度前後の見通し。8日は曇りで雨や雷雨の可能性があり、夕方は落雷・突風に注意とされる。台風13号(8月7日13時に沖縄本島付近)の影響で9日頃まで強風・高波が続き、フェーン現象で気温が上がる可能性がある。熱中症警戒アラートは8月7日に県内へ発表された。

医療機関の健全性とモバイルファーマシー

項目状況(厚生労働省第42報・8月7日13時現在)
被災医療機関熊本県内92施設。断水は現在30施設(最大88施設)、医療ガス1施設(最大13施設)。浸水・停電は現在0施設
透析県内94か所のうち最大13か所が実施困難となったが、現在11か所が実施可能。2か所は他医療機関で対応
派遣チームDMAT 65隊が現場・83隊が本部、DPAT 21隊、JMAT 27チーム97人、日赤救護班30班、DHEAT 9チーム、保健師等31チーム
薬局熊本県内138施設が被災(8月6日14時)。営業不可7施設、建物被害88施設、断水57施設、停電21施設
モバイルファーマシー3台が稼働。熊本県薬剤師会が宇城市・小川防災拠点センター(8月1日〜)、福岡県薬剤師会が八代市総合体育館(8月2日〜)、宮崎県薬剤師会が氷川町健康センター(8月2日〜)

医療機関の断水は前日の34施設から30施設へ、薬局の営業不可は19施設から7施設へ減り、処方の入手可能性は改善している。熊本県の資料は医療機関258施設・薬局140施設の「損傷」を別に集計しており、厚生労働省の「被災施設」とは母数が異なる。モバイルファーマシーは約90品目に絞り、原則3日分・最長1週間分で運用されている。

前日からの主な変化

  • 政府が8月7日、激甚災害(本激)と特定非常災害の指定政令を閣議決定
  • 断水は約3万6,880戸から約3万6,730戸へ、減少幅が約150戸にとどまった
  • 八代市の都市ガスが約4,000戸で供給再開。南部の見通しが「1〜2週間」から「来週中に概ね復旧」へ
  • 医療機関の断水が34施設から30施設、薬局の営業不可が19施設から7施設へ改善
  • 復旧作業に伴う労働災害の負傷が7人から11人へ増加

新たに使える支援・特例

8月7日の持ち回り閣議で、激甚災害(本激)、特定非常災害、総合法律支援法に基づく指定の3政令が決定された。特定非常災害の指定により、運転免許証のように有効期間のある許認可等の満了日の延長(6か月以内)、履行期限のある法令上の義務を期限内に果たせなかった場合の免責(4か月以内)、法人の破産手続開始決定の留保(2年以内)、相続の承認・放棄をすべき期間の延長(1年以内)、民事調停の申立手数料の免除(3年以内)が適用される。個別の期日は政令で定められる。人事総務は、従業員の運転免許や業務上の資格、事業場の許認可・届出の期限を洗い出す局面に入った。記事020の更新を推奨する。

環境省は8月7日に災害廃棄物支援調整本部と公費解体支援チームを設置した。

産業保健職への示唆

避難所の空調は要請11か所に対し設置済み4か所にとどまり、最低気温30度前後の夜が14日まで続く見通しと重なる。避難所から通う従業員の睡眠と回復は、日中の作業可否を決める材料として扱いたい。

復旧作業の負傷が増えている。8日夕方の落雷・突風、9日の強風が予想されるため、屋外・高所作業の中止基準と再開手順を週末のうちに確認しておく。

医療機関30施設が断水中である。処方の入手は改善したが、慢性疾患を持つ従業員の受診状況は個別の確認に値する。

参考

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