本記事は9月1日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。
本日は発災から36日目にあたる。県内の上水道の断水は8月28日に解消し、宇城市の応急給水も8月31日で終了した。水の供給が公的な支援から各戸の設備へ移った最初の朝であり、同時に、文部科学省が目標としてきた「9月1日までの教育活動再開」の当日でもある。
ライフラインと交通
| 項目 | 9月1日7時時点の状況 | 発表主体・時点 |
|---|---|---|
| 上水道 | 最大約10万8,100戸が断水したが、現在は復旧済み。給水車は延べ72台を派遣 | 国土交通省 第51報(8月31日17時/断水は同日14時30分時点) |
| 減圧給水 | 宇城市の不知火町・松橋町・小川町・豊野町の全域で継続。松橋町・小川町は8月27日からさらに減圧し、日中も水が出にくい | 宇城市(8月28日更新) |
| 応急給水 | 宇城市小川防災拠点センターの給水車・仮設給水タンクは8月31日で終了。他拠点は終了済み | 宇城市(8月28日更新) |
| 入浴支援 | 氷川町に可搬式浄水装置を設置し、約8,000名が入浴施設を利用 | 国土交通省 第51報 |
| 停電・都市ガス | 停電は8月1日に全面解消。八代市の都市ガスは復旧率100% | 既報 |
| 下水道 | 県内の処理場30施設のうち24施設、ポンプ場101施設のうち100施設で異常なし | 国土交通省 第51報 |
| 九州新幹線 | 熊本~新水俣で運転見合わせ。9月18日運転再開予定 | 国土交通省 第51報 |
| 鹿児島本線 | 宇土~八代で運転見合わせ。10月中旬の再開を目指す。代行バス運行中 | 国土交通省 第51報 |
| 肥薩おれんじ鉄道 | 八代~水俣で運行中止、代替輸送を実施 | 国土交通省 第51報 |
| 高速道路 | 南九州道の八代JCT~八代南ICは橋梁損傷で通行止め。八代南IC~田浦ICは8月18日から一般車両が通行可 | 国土交通省 第51報(8月31日13時時点) |
| 空港・港湾 | 熊本空港は7月30日以降、地震由来の欠航なし。八代港は8月22日から内港地区でも貨物船の利用を再開 | 国土交通省 第51報 |
減圧給水が続く4町では、断水が「解消」と発表された後も、時間帯によって蛇口から水が出ない状態が残る。応急給水が終わった本日以降、この4町に住む従業員は水を自力で確保することになる。
被害の状況
人的被害は、熊本県の被害情報第49報(8月28日8時時点)が最新で、死者38人(うち災害に起因するもの36人)、負傷者402人(重症33人、中等症96人、軽症68人、分類未確定167人)と発表されている。住家被害は計4万3,292棟(全壊1,748棟、大規模半壊248棟、半壊3,053棟、一部破損2万8,455棟)。8月29日以降に新しい報は公表されておらず、前日から更新はない。
避難所は61か所・避難者2,442人(8月28日時点の発表)。熊本市は4か所・85世帯137人(8月28日6時時点、第25回災害対策本部会議)まで減っている。応急住宅は21団地553戸が着工済みで、うち氷川町の20戸が完成した。公営住宅は全国で約1万戸、UR賃貸住宅140戸が確保されている。
地震活動は、震度1以上が693回(8月21日12時現在、震度7が1回、5弱が5回、4が23回)。気象庁は8月18日から1~2か月程度、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要としており、この注意期間は9月中旬から下旬まで続く。地震活動域は広範囲に及んでおり、海底で規模の大きな地震が発生した場合は津波にも注意が必要とされている。
医療機関の健全性とモバイルファーマシー
| 項目 | 最大 | 現在 | 時点 |
|---|---|---|---|
| 被災医療機関(熊本県計92施設)のうち断水 | 88 | 14 | 8月27日9時 |
| 同 停電 | 22 | 0 | 8月27日9時 |
| 同 医療ガス | 13 | 0 | 8月27日9時 |
| 透析施設(県内94か所)の実施困難 | 13 | 0 | 8月24日 |
| 被災薬局(計143施設)のうち断水 | 59 | 59 | 8月26日14時 |
| 同 停電 | 22 | 20 | 8月26日14時 |
| 同 営業不可 | — | 4 | 8月26日14時 |
支援チームはDMAT14隊、DPAT7隊、JMAT25チーム92人、JDAT4チーム、保健師等33チームが活動中で、災害支援ナースは延べ411名が派遣された(厚生労働省第59報、8月26~27日時点)。モバイルファーマシーは8月12日で終了している。薬局の断水59施設は最大値のまま動いておらず、上水道の断水解消が薬局の給水設備の復旧に直結していない可能性がある。ただし厚生労働省の報は8月27日時点で更新が止まっており、本日7時時点でそれ以降の数値は確認できていない。
前日からの主な変化
- 宇城市の応急給水(給水車・仮設給水タンク)が8月31日で終了した。減圧給水は4町全域で続いており、水の確保は各戸の設備と備蓄に移る。
- 国土交通省第51報(8月31日17時)で、上水道の断水は「復旧済み」と明記された。
- 震度7を観測した宇城市の小中学校が8月31日に再開した。文部科学省は8月21日、すべての学校で9月1日までに新学期の教育活動を開始する予定と説明している。
- 熊本県に9月1日も熱中症警戒アラートが発表された(8月31日17時発表)。8月20日以降13日連続となる。
- 医療機関・薬局・労働災害の数値は、厚生労働省第59報(8月27日時点)から更新がない。
新たに使える支援・特例
事業場・労働者が直接使える新たな特例は、本日7時時点で新たな発表は確認していない。自治体向けには、総務省が8月31日、熊本県と県内20市町村に普通交付税616億円を追加で繰り上げ交付すると発表したと報じられている。政府の「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」(8月28日閣議決定)と雇用調整助成金の特例は引き続き有効で、「九州ふっこう応援割」は10月以降の実施が予定されている。
産業保健職への示唆
水の供給が公的支援から自助に切り替わった本日は、減圧給水が続く4町の従業員について、飲用水・トイレ・手洗いの確保を人単位で確認し直す日である。事業場の備蓄も、この1か月で使い切ったまま補充されていないことが多い。
学校が出そろうことで、育児を抱える従業員の勤務は「戻せる」段階に入るが、避難所から登校する子ども、通学路が通行止めのままの地域も残る。時差出勤や短時間勤務を一律に解除せず、家庭ごとの条件を聞いてから順に戻したい。
復旧作業に伴う労働災害は、死亡17件、休業4日以上106人(8月24日19時時点)から更新が確認できていない。数字が動いていないことと、現場のリスクが下がったことは同じではない。熱中症警戒アラートは13日連続で、9月に入っても作業中止基準を緩める根拠はない。
参考
- 国土交通省 令和8年熊本地震における被害と対応について
- 国土交通省 令和8年熊本地震における被害と対応について(第51報)
- 厚生労働省 令和8年熊本地震について
- 厚生労働省 令和8年熊本地震について(第59報)
- 熊本県 令和8年熊本地震に係る被害情報
- 熊本県 災害対策本部会議
- 熊本市 令和8年熊本地震に関する情報
- 宇城市 地震に伴う断水及び給水のお知らせ
- 気象庁 令和8年熊本地震ポータルサイト
- 気象庁 令和8年熊本地震について(地震活動の概要)
- 環境省 熱中症予防情報サイト 熱中症警戒アラート
- NHK 震度7の揺れ観測した熊本 宇城市の小中学校で学校再開
- NHK 熊本地震 普通交付税616億円を追加で繰り上げ交付へ 総務省
- 熊本日日新聞 令和8年熊本地震 ライフライン情報