260825_【定点観測】令和8年熊本地震 8月25日7時時点 — 産業保健のための状況整理

本記事は8月25日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。発災から29日目にあたる。

目次

ライフラインと交通

項目状況(発表主体・時点)
断水約3,600戸/3市町(国土交通省第48報、8月23日7時30分時点)。宇城市2,579戸、八代市688戸、氷川町342戸。最大は約10万8,100戸
給水給水車119台(国土交通省18台、日本水道協会93台、自衛隊8台。同第48報)
停電8月1日に全面解消
都市ガス八代市8,827戸で供給再開。倒壊家屋等65戸を除き復旧。熊本市は7月31日完了
九州新幹線熊本〜新水俣で運転見合わせ。全線再開の見通しは「8月中に示す」とJR九州社長が述べたと報じられているが、本日7時時点で発表は確認できていない
鹿児島本線宇土〜八代で運転見合わせ。8月26日からバス代行輸送を実施予定(同第48報)
肥薩おれんじ鉄道八代〜水俣でバス代替輸送を継続
高速道路・国道九州自動車道は全線通行可(対面通行区間あり)。南九州自動車道 八代JCT〜八代南ICは通行止め。国道219号新萩原橋は8月27日6時に通行可能予定

宇城市では断水そのものは解消したものの、高台などで1日数時間しか水が出ない地域が残ると報じられている(NHK、8月24日)。「戸数が減った」ことと「いつでも水が使える」ことは、この段階でも同じではない。

被害の状況

熊本県災害対策本部第43報(8月24日14時時点)によると、死者は38人で、内訳は災害に起因する死亡36人、災害関連死の可能性がある死亡1人、調査中1人と発表されている。負傷者は重症31人、中等症96人、軽症66人、分類未確定167人。住家被害は全壊1,664棟、大規模半壊198棟、半壊2,337棟、一部破損2万2,123棟、分類未確定1万2,600棟である。

避難所は65か所、避難者は11市町で2,684人(同第43報)。建設型応急住宅は368戸18団地で全団地が着工済み、ほかに公営住宅382戸、UR賃貸住宅140戸が確保されている(国土交通省第48報)。

地震活動は、7月28日16時以降の震度1以上が計700回(気象庁、8月23日9時現在)。日別では8月20日7回、21日5回、22日2回と減少傾向にあるが、気象庁は8月18日の第9報で、揺れの強かった地域では今後1〜2か月程度、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要としている。

医療機関の健全性とモバイルファーマシー

項目状況(厚生労働省第57報、8月23日10時時点)
被災医療機関熊本県92施設。断水16施設(最大88施設)、浸水・停電・医療用ガスはいずれも解消、その他6施設
透析給水支援とライフライン復旧により12か所が実施可能に回復。1か所は断水・機材損傷で引き続き困難
支援チームDMAT15隊、DPAT5隊(本部のみ)、JMAT32チーム123人、JRAT15チーム64人、DHEAT5チーム(うち4チーム活動中)、災害支援ナース延べ361人
薬局被災143施設、営業不可4施設。断水施設数は本日7時時点で確認できていない
モバイルファーマシー熊本県・福岡県は8月12日で活動終了

前報で現地6隊・本部5隊とされていたDPATは、本日確認できた第57報では本部5隊のみとなっている。現地に入っている精神科の支援は、実質的にこの数日で細くなったとみてよい。一方で災害支援ナースは延べ313人から361人へ増えており、支援の縮小は分野ごとに足並みがそろっていない。

前日からの主な変化

  • 復旧作業に伴う休業4日以上の労働災害が93人(8月20日19時時点)から105人(8月21日19時時点)へ、1日で12人増えた(厚生労働省第56報・第57報)。
  • DPATが11隊(本部5・現地6)から本部5隊のみとなり、現地活動が確認できなくなった。
  • 被災医療機関の断水は17施設から16施設、薬局の営業不可は5施設から4施設へわずかに減った。
  • 避難者は2,794人から2,684人へ減り、避難所数は65か所で横ばい(熊本県第41報・第43報)。
  • 8月25日を対象とする熱中症警戒アラートが熊本県を含む37都府県に発表され7日連続となり、被災地では最高気温40度の酷暑日が見込まれると報じられている。

新たに使える支援・特例

本日7時時点で、国・県による新たな特例措置の発表は確認していない。熊本市では被災家屋等の解体・撤去の事前予約が本日8月25日に始まり、申請受付は9月10日からとされている。

産業保健職への示唆

本日は、被災地で40度が見込まれる日に、公費解体の予約という新しい屋外の動きが重なる。休業4日以上の労災が1日で12人増えた事実と合わせて読めば、作業量そのものが増えている局面だと分かる。各事業場では、前日までに決めた作業中止基準を今朝もう一度読み上げ、単独作業と午後の屋外作業を具体的に減らしてほしい。

支援側では、DPATの現地活動が確認できなくなった。これまで支援チームに預けていたメンタル面の相談を、職域と地域の保健師のどちらが引き取るのかを、今日中に名指しで決めておきたい。断水戸数は減ったが、水が出る時間が限られる地域はなお残る。従業員の生活時間を前提にした勤務設計を、まだ解除しないほうがよい。

参考

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