本記事は8月22日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。発災26日目。
ライフラインと交通
| 項目 | 8月22日7時時点の状況 |
|---|---|
| 断水 | 県内3市町で約4,300戸(国土交通省第47報・8月21日10時現在)。内訳は宇城市2,579戸、八代市1,021戸、氷川町684戸。いずれも管路破損のため試験通水を実施中。最大は4県15自治体で約10万8,100戸 |
| 復旧見込み | 3市町とも8月末の断水解消に向けて応急復旧中 |
| 給水 | 給水車は計129台(国土交通省18台、日本水道協会103台、自衛隊8台) |
| 停電 | 8月1日に全面解消 |
| 都市ガス | 八代市は倒壊家屋65戸を除く全8,827戸で供給再開。熊本市は7月31日11時30分に復旧完了 |
| 通信 | 固定電話・携帯電話は全事業者で復旧。楽天モバイル1局が停波(内閣府第20報) |
| 鉄道 | 九州新幹線 熊本〜新水俣、鹿児島本線 宇土〜八代、肥薩おれんじ鉄道 八代〜水俣で運転見合わせ。九州新幹線は構造物変状600箇所以上・軌道変状約300箇所 |
| 代行バス | 鹿児島本線は宇土〜小川で運行中。8月26日に宇土〜八代へ拡大予定。肥薩おれんじ鉄道も代行バス運行中 |
| 高速道路 | 九州自動車道は8月14日6時から全線で一般車両通行可。南九州西回り自動車道は八代南IC〜田浦ICが8月18日6時から一般車両通行可、八代JCT〜八代南ICは橋梁損傷で通行止め継続 |
| 一般道 | 国道219号 新萩原橋は8月下旬に一般車両通行可の見込み |
被害の状況
人的被害は、熊本県第36報(8月20日14時現在)で死者38人。うち災害に起因する死者36人、負傷の悪化等により死亡した可能性のある人1人、関連を調査中の人1人とされる。負傷は重症29人・中等症96人・軽症65人の計190人、ほかに分類未確定170人。一方、内閣府第20報(消防庁・8月20日10時現在)は死者39人・負傷364人としており、両者の集計は一致しない。住家被害も熊本県第36報が計3万5,048棟(全壊1,555棟)、内閣府第20報が計1万7,841棟(全壊1,548棟)と幅がある。いずれも速報値であり、発表主体と時点を確認したうえで用いたい。
避難所は熊本県第36報で69か所・2,925人(11市町、八代市1,588人、宇城市680人、熊本市201人)。熊本市の第24回災害対策本部会議資料(8月21日)では市内7か所・137世帯200人で、前日から2人の減にとどまる。
8月21日、宇城市と美里町の避難指示が解除され、県内17市町村に出ていた緊急安全確保・避難指示がすべて解除されたと報じられた。応急仮設住宅(建設型)は276戸・15団地が全戸着工済み。公営住宅の空室は382戸を確保し9戸で入居が決まっている。賃貸型は21市町村で受付中。
余震について気象庁は、発生数は緩やかに減少しているが活動は依然活発とし、強い揺れを観測した地域では今後1〜2か月程度、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要としている(8月18日発表の第9報時点)。
医療機関の健全性とモバイルファーマシー
| 項目 | 状況(厚生労働省第55報・8月20日10時現在) |
|---|---|
| 被災医療機関 | 熊本県内92施設。断水は最大88施設から現在17施設、浸水・停電・医療用ガスはいずれも現在0 |
| 透析 | 県内94か所のうち最大13か所が困難。12か所が再開し、1か所は他医療機関で対応 |
| DMAT | 現場活動14隊・コーディネーション33隊(8月19日15時)。第54報の25隊・42隊から縮小 |
| DPAT | 10隊(本部4・現地6、8月20日9時) |
| その他支援 | JMAT32チーム、JDAT5チーム、JRAT16チーム、DHEAT6チーム、日赤医療班22班、保健師等35チーム、災害支援ナース延べ308名 |
| 薬局 | 被災142施設、営業不可5、建物被害88、断水59、停電20(8月19日14時時点) |
| モバイルファーマシー | 宮崎県薬剤師会が8月9日、熊本・福岡県薬剤師会が8月12日で運用終了 |
| 労働災害 | 復旧作業に伴う死亡17人・休業4日以上81人(8月19日19時時点) |
厚生労働省の報は本日7時時点でも第55報が最新であり、医療機関・薬局・労働災害の数値は8月20日10時現在から更新されていない。薬局の断水59施設は前報から動いておらず、断水が残る3市町では調剤の空白が続いている可能性がある。モバイルファーマシーの再稼働は本日7時時点で確認できていない。
前日からの主な変化
- 断水が約4,900戸から約4,300戸へ約600戸減少(国土交通省第46報→第47報)。宇城市が2,910戸から2,579戸、氷川町が961戸から684戸へ減り、八代市1,021戸は横ばい。
- 8月21日に宇城市・美里町の避難指示が解除され、県内すべての避難指示が解除されたと報じられた。
- 8月22日を対象とする熱中症警戒アラートが熊本県を含む18県に発表され、4日連続となった。
- 個人の井戸の復旧支援、激甚災害の追加指定、来週の支援パッケージ取りまとめが、いずれも8月21日に相次いで表明されたと報じられた。
- 厚生労働省の報は第55報のままで、医療・薬局・労働災害の数値に更新はない。比較の基準日は前日の定点観測(8月21日7時時点)とした。
新たに使える支援・特例
報道によれば、8月21日、飲用水として使われている個人の井戸の復旧について、費用の一部を国が負担する災害救助費などを通じて支援する方針が示された。断水が残る3市町では井戸を生活用水としてきた世帯・事業場があり、水道の復旧とは別に確認が要る。同じ8月21日、激甚災害の追加指定により被災私立学校の復旧も支援対象とする方針、政府が来週にも住まいの確保策と観光振興の「応援割」を含む支援パッケージを取りまとめる方針が、それぞれ報じられている。いずれも本日7時時点で制度の詳細は公表されていない。8月20日公表の雇用調整助成金の特例に、本日7時時点で変更は確認していない。
産業保健職への示唆
避難指示がすべて解除されたことで、統計に表れる「避難者」は減る一方、自宅で断水や損壊を抱えたまま暮らす在宅避難者が見えにくくなる。避難所名簿からは外れるため、従業員の居住実態は勤怠と自己申告からしか把握できない局面に入る。
断水が4,300戸まで減ったことで支援は縮小に向かうが、井戸を使う世帯・事業場は水道の復旧宣言では救われない。給水車129台の撤収時期を、自社の水の確保計画と突き合わせておきたい。
熱中症警戒アラートは4日連続で、屋外の復旧作業は今週も高い負荷が続く。休業4日以上の労働災害は81人で止まっているが、これは報告の集計が更新されていないためであり、実勢が横ばいであることを意味しない。
参考
- 国土交通省 令和8年熊本地震における被害と対応について(第47報)
- 国土交通省 災害・防災情報 令和8年熊本地震
- 厚生労働省 令和8年熊本地震について(第55報)
- 厚生労働省 令和8年熊本地震による被害状況
- 内閣府防災 令和8年熊本地震に係る被害状況等について(第20報)
- 熊本県 令和8年熊本地震に係る被害情報(第36報)
- 熊本市 災害対策本部会議資料(第24回・8月21日)
- 気象庁 令和8年熊本地震ポータルサイト
- ウェザーニュース 8月22日(土)の熱中症警戒アラート
- NHK 熊本地震 宇城市と美里町の避難指示解除 県内すべて解除に
- NHK 熊本地震 個人の井戸復旧を災害救助費で支援可能に 高市首相
- NHK 熊本地震 激甚指定追加で被災私立学校の復旧も支援へ 官房長官
- NHK 政府 来週にも熊本地震で支援パッケージ 観光振興「応援割」も
- NHK 熊本地震「在宅避難者」の健康確認が課題 自治体による違いも