260809_【定点観測】令和8年熊本地震 8月9日7時時点 — 産業保健のための状況整理

本記事は8月9日7時時点の公表情報・報道に基づく。数値は発表主体により異なり、今後変わりうる。

目次

ライフラインと交通

項目8月9日7時時点で確認できる状況発表主体・時点
断水(戸数)県内3自治体で約3万6,400戸。八代市 約2万3,462戸、宇城市 約9,900戸国交省 第33報/8/7 13時
断水(地域)八代市は全域(東陽町・泉町下岳は解消、一部で試験通水)。氷川町は立神・桜ヶ丘を除く全域。宇城市は小川町・豊野町の全域と松橋町の一部。宇土市は24時間試験通水中。上天草市は8月末まで21時〜11時の給水制限。県内全域の解消は8月末までの見込み熊本日日新聞/8/8、宇城市/8/8 15時
応急給水八代市内22か所、宇城市6か所(8時30分〜17時)。船舶でも給水熊本日日新聞/8/8、宇城市/8/8 15時
停電・都市ガス熊本市内はいずれも復旧済み。県全体の停電継続戸数は本日7時時点で確認できていない熊本市 第15回本部会議/8/8 12時
九州新幹線熊本〜新水俣は運休中で、8月中の再開は困難な見込み(構造物変状200か所以上)熊本市/8/8 9時、国交省 第33報
JR在来線鹿児島本線 宇土〜八代は運休中。熊本〜宇土は本数を削減して運行同上
肥薩おれんじ鉄道八代〜水俣は運転見合わせ。8月10日から代行バス運行開始予定。水俣〜川内は8月5日始発から再開国交省 第33報/8/7 13時、報道による
道路・バス九州道 松橋IC〜えびのICで6区間、南九州道 八代JCT〜田浦ICで3区間が通行止め。九州産交バスの一部が運休国交省 第33報/8/7 13時、熊本市/8/8 9時

被害の状況

熊本県が8月8日14時時点で公表した人的被害は、死亡39人、心肺停止0人、重症23人、中等症65人、軽症51人、分類未確定30人。このうち災害関連死の可能性があるとされたものが1人、災害との関連を調査中のものが2人。県は8日7時半時点で、直接死かどうかを調査中の人が1人増えて2人になったと発表しており(報道による)、内訳は今後動きうる。

住家被害は計1万8,791戸(全壊699戸、大規模半壊20戸、半壊1,025戸、一部破損7,357戸、分類未確定9,690戸/熊本県 8月8日14時)。分類未確定が半数を占めており、認定調査が進むにつれて数字は大きく動く。

避難所は118か所、避難者は6,355人(熊本県/8月8日14時)。内訳は宇城市2,972人、八代市2,436人、熊本市395人、氷川町279人で、断水が続く地域に集中している。熊本市は8月8日12時時点で37か所415人・287世帯とし、前回集計から63人減らしている。

避難所環境について、県はトイレカー26台・仮設トイレ120台など計296台を増設し、キッチンカーで適温食を提供しているとしている(熊本県 第18回本部会議/8月8日)。静脈血栓塞栓症の対策として弾性ストッキングを活用した取り組みが始まり、誤嚥性肺炎の予防としてJDATが避難所を個別訪問し歯ブラシ等の配布を8月8〜9日に拡大するとされている。熱中症搬送は8月7日時点で2人と、前日の15人から減った。建設型の応急仮設住宅は宇城市50戸、美里町12戸、氷川町20戸。

医療機関の健全性とモバイルファーマシー

項目状況発表主体・時点
被災医療機関熊本県合計92施設。浸水は最大35→現在0、停電は最大22→現在0、断水は最大88→現在30厚労省 第42報/8/7 13時
被害(別集計)医療機関259施設、薬局140施設、社会福祉施設960施設で被害を確認熊本県 第18回本部会議/8/8
透析94施設中、実施困難は最大13か所→現在2か所厚労省 第42報/8/7 13時
DMAT・DPATDMAT65隊、コーディネーション83隊が活動中。DPATは21隊(本部13隊・現地8隊)同上
薬局138施設が被災、うち営業不可7施設。災害薬事コーディネーター4名同上
モバイルファーマシー熊本県・宮崎県薬剤師会が宇城市、福岡県薬剤師会が八代市で活動中熊本県 第18回本部会議/8/8

被災医療機関数は厚生労働省が92施設、熊本県が259施設としており、集計の対象と定義が異なるとみられるため両方を併記する。断水が残る医療機関は30施設で、8月7日時点の34施設から減った。モバイルファーマシーが入っているのは宇城市と八代市で、断水と避難者が集中する地域と重なる。

前日からの主な変化

本シリーズは8月8日分の定点観測を出していないため、8月7日7時時点との比較を示す。

  • 断水は約3万6,880戸から約3万6,400戸へ。減り方は緩やかで、県全域の解消見込みは8月末のまま変わっていない
  • 台風13号は通過した。台風15号は日本の東を西北西に進み、九州が暴風域に入る確率は低いとされる(tenki.jp/8月8日19時05分)
  • 熱中症警戒アラートは本日、東京都と沖縄県八重山地方のみで、熊本県には発表されていない(ウェザーニュース/8月9日4時50分)。ただし8日も猛暑で夜間の気温が下がらず、9日も厳しい暑さが続く見通しとされている(報道による)
  • 断水医療機関は34施設から30施設へ。透析の実施困難は2か所で変わらない
  • 肥薩おれんじ鉄道の八代〜水俣で、8月10日から代行バスの運行が始まる予定

新たに使える支援・特例

本日7時時点で、新たな特例の発表は確認していない。

前日までの動きとして、激甚災害の指定政令が8月7日の持ち回り閣議で決定し、同日公布・施行された(本激)。内閣府の資料で確認できた措置は、公共土木施設災害復旧事業等(法第3条・第4条)、農地等(法第5条)、農林水産業共同利用施設(法第6条)、小災害債(法第24条)の4つ。いずれも自治体・農林水産業向けであり、事業場が直接申請するものではない。詳細は記事031を参照。

熊本県は商工業の被害を2,823件・727億円と把握し、熊本労働局と雇用調整助成金等の具体策を検討中としている(熊本県 第18回本部会議/8月8日)。発動されれば人事総務に直接関わるため、動きがあれば記事020の更新を推奨する。

産業保健職への示唆

台風が外れ、熱中症警戒アラートも県内には出ていない。屋外・高所作業を止める外的な理由が一度に消えた日は、応急修理と片付けが一斉に動き出す日でもある。暑さ自体は下がっていないので、中止の判断は自社の基準で行う。

避難者6,355人のうち約85%が宇城市と八代市に集中している。同じ会社でも、熊本市の従業員は生活が戻り、八代・宇城の従業員は避難所から出勤している。この差は、勤務条件の説明を求められる形で職場に表れる。

明日で発災から2週間になる。申告されない不調が増える時期に入るため、いまのうちに面談の枠を確保しておく。

参考

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次