不眠になった労働者の方へ 令和6年能登半島地震で産業医の立場で労働者のためにできること3

繰り返す地震により自宅にいても眠れなくて困っている方も多くいらっしゃると思います。眠れないことに意識が強くなりすぎると余計に眠ることができず、より心理的に圧迫を感じてしまうこともよくあることです。災害が発生した時の生理的なメカニズムを知り、その負担感が少しでも減らしていただけたらと思います。

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災害時に眠れない理由

災害が発生したとの不眠は「症状」ではなく通常の「反応」であるとされています。危機状態に生体反応として不眠反応が出ている自然な現象です。したがって、過度に不安やおそれを持ったり心配したりする必要はありません。時間とともに少しずつ落ち着くことが多いとされています。
また、睡眠には記憶を定着させる機能があります。災害時の不眠は、トラウマ記憶を定着させずに心的外傷後ストレス障害・症状(Post-Traumatic Stress Disorder/Sympton; PTSD・PTSS)を予防する可能性があるともされています。

https://doi.org/10.1016/j.biopsych.2010.08.015

眠れない場合の対応のヒント セルフケア編

眠れない状況が数日であり、昼間に眠気が出ない、仕事に負担がほとんどない、といった場合には心配しすぎる必要はありません。以下のようなことで不眠状況を改善することができそうです。
・自分自身が安全な環境にいることを確認する
・自分自身が安全な人間環境にあることを確認する
・15時以降(可能ならお昼以降)のカフェイン摂取を避ける
・寝酒をしない
・眠る直前までPCやテレビを見ない
・災害情報の流れるテレビを漫然とつけっぱなしにしない
・少しでも横になれる環境の時には横になって休む

眠れないことが日常生活に影響を及ぼす場合 他者のサポートを求める

眠れない状況が苦痛であること、日中眠くて仕事に影響があること、眠れない状況が長期間に及ぶこと、など不眠があることが大きな影響を及ぼしていると考えられるときには他者の介入が必要になることがあります。会社に産業医等(産業医・産業保健師・産業看護師など)がいる場合には相談してみてください。産業医等が不在の場合には、かかりつけ医療機関や近隣医療機関など受診し相談してみるといいでしょう。最近ではオンライン診療をしている医療機関もあります。公的機関なども相談に乗ってくれる場合もあります。

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