病院BCP 「健康確保の方針」の策定

「健康確保の方針」の必要性

災害時にも職員が健康に働ける職場環境を実現するためには、まずは、病院の経営層が中心となって、事業継続戦略として職員の健康確保を推進するという方針やメッセージを示すことで重要です。BCPに「職員の健康確保の方針」を策定することで、職員の健康と安全を最優先に考える姿勢を示すことができます。また、BCPの基本方針や策定目的に職員の健康確保の方針を示すことで、以降の具体的に健康確保施策ともつなげることができ、一貫性があります。

「健康確保の方針」の策定例

事業継続計画(BCP)策定の目的と方針

基本方針 職員の安全と健康を第一として対応する

本病院は、「質の高い医療を提供し、地域や市民を守る」の理念のもとに、災害時においても病院機能を可能な限り維持する。そのためには、病院の職員の安全と健康が基盤となる。そこで、災害時においても職員が安全と健康を維持したまま働ける職場環境となるように準備する。

収集したBCPの良好事例

事例1

2)計画策定の基本概念
地震発生後直ちに患者の安全を確保し、病院施設・設備の保全を図り、災害医療体制を敷き、できるだけ早期に通常診療業務体制~復旧を遂げることが、発災時における○○病院の果たす役割である。また、病院機能を雑持し、診療を継続するためには、医療の担い手である職員(マンパワー)が最も重要な運営資源となる。
本計画は、次の4つの基本概念のもとに策定する。
1.職員を守る
2.病院の安全を守る
3. 医療の継続を図る
4.医療の復旧を遂げる

Point
病院機能・診療機能を維持するために、職員を守ることBCPの最初に基本概念として示されている。

事例2

1. 作成の目的・方針、適用範囲
当院では、以下の目的・方針、適用範囲により、本計画に沿った活動を進めていきます。
[目的・方針-1:診療の早期再開、診療規模の維持]

  • 当院の被害に加えて、患者との信頼を確保するため、優先順位の高い診療を停止することなくまた、他の業務も速やかに再開するため、事業継続計画を策定する。
  • 職員及び患者の健康管理に十分配慮し、そのうえで診療業務を効果的に維持・継続する。
  • 災害拠点病院として地域医療の役割を遂行する。

Point
継続的な医療提供のために、患者のみならず、職員の健康管理にも十分に配慮することが示されている。

事例3

事業継続取り組み基本方針

1 (災害発生時)職員の安全を守り、業務遂行スタッフを確保する
2(災害発生時)重要な病院機能の継続につとめ、中断した業務は迅速に復旧させる
3(災害発生時)速やかに災害医療を開始する
4(平時の活動)教育・訓練を通じて組織としての危機対応能力を高める。
5(平時の活動)課題管理を継続して、必要な対策を施す

Point
職員の安全を基本方針の第一に掲げられている

事例4

(1)職員自身の安全確保

災害時に職員自身の身の安全が確保されていることこそ、業務継続の基本である。
職員やその家族が負傷した場合、業務継続の担い手になれないばかりか、逆に災害時の医療機能を減退してしまいかねない。
職員は、平時から「自助」のための意識を高めて十分な備えをしておき、災害時に不安なく業務に従事できる状況を作っておく必要がある。

Point
業務継続の基本として、職員自身の安全の確保を示している

事例5

【BCP 基本方針】
当院は、大規模地震時においてもその社会的役割を果たすため、以下のとおり基本方針を定める。

【基本方針】
①働く全スタッフの安全を第一として対処する。
② 病院機能を維持し早急な復旧を目指す。
③ 1人でも多くの人命を救助する。
④○○市医療体制のレベル2病院としての役割に基づき、△△区の医療救護活動の中心的な役割を担う。
⑤ 当院の特色を生かし透析患者、感染症患者の積極的な受入れを行う。
⑥ 平時から自院及び地域の災害医療体制の整備について積極的に取り組み病院機能の維持継続、早期復旧に最善を尽くす。

Point
BCPの基本方針として、職員の安全を第一として示している

良好事例6

(2)BCPの方針
○○病院におけるBCPは以下の3点を基本方針とする。

◆職員、及びその家族、入院患者などの生命、安全の確保を最大限優先する。
◆院内の被害を最小限に抑え、病院機能の早期復旧に向けて組織的活動を行う。
◆ 災害拠点病院として災害時の初動対応から復旧・復興期にわたって他の機関と連携し、地域社会への貢献を果たす。

Point
BCPの基本方針として、職員の生命・安全確保を最大限優先することを示している

事例7

[基本方針]
① 災害拠点病院として、必要な医療及び救護活動を寸断なく実施し、入院患者や傷病者の命を守る。
② 災害・事故の発生の可能性及び発生した際の影響を事前の対策によって最小化し、患者・職員の人命を守る。
③ 組織・経営としての継続性を担保し、地域に信頼される病院として、また職員にとって働き甲斐のある職場としてあり続ける。

Point
基本方針として、職員の人命を守ることを示している

事例8

目的)
当院が、不慮の災害や事故などにより重大な損害を被り、事業継続が危ぶまれる事態に陥った場合、利用者に多大な悪影響を及ぼすことは確実であり、当院と医療への頼が失墜することは免れない。このような状況を発生させないために、当院では下記を目的とした事業継続計画(以下、「BCP」という)を策定する。
・事業中断を防ぐ
・事業中断時の早期復旧を可能とする
・職員の安全を確保する
・事業中断による影響を最小化する
・医療サービスの供給責任を果たす
・職員の雇用を守る

Point
BCPの目的に、職員の安全確保を示している

事例9

【基本方針】
当院は、大規模災害時及び感染症蔓延等の非常時においてもその社会的使命を果たすため、BCPの策定にあたり、次のとおり基本方針を定める。
◆状況に応じた優先業務の選定を確実に実施し、一人でも多くの人命を救助する。
◆患者と職員の安全を常に配慮し、病院機能の維持継続、早期復旧に最善を尽くす。
◆ 非常時の初期対応から復興期にわたり、途切れることのない医療の提供を行い、災害拠点病院としての責務を果たす。

Point
基本方針に職員の安全への配慮を示している

事例10

1.災害対応基本方針
このマニュアルは災害発生時に備え、予測されうる事態を可能な限り想像し、初動行動からBCPに係る事項までを網羅してありますが、基本的な活動方針として以下の三点を大きな柱としています。
①教職員や学生及び在院している患者や患者家族、被災した傷病者の生命を守ることを最優先課題とする。
②災書を覚知した場合、通常時医療から災害時医療への理念の転換を速やかに行い、災害対策本部を中心とした活動を実施する。
③災害拠点病院としての責務を果たすために院に限らず○○全体として対応を行い、病院機能の維持及び復日に注力する。災害の規模によっては関連病院との連携を保ちながら対応する。

Point
基本方針に職員の生命を守ることを最優先課題として挙げている

事例11

基本方針
Ⅰ 行政、他の医療機関等と連携し、一人でも多くの人命を救助する。
Ⅱ 災害発生時には患者、教職員、家族等の身体、生命安全を確保するとともに、被災状況を確認し、病院機能継続のため早期復旧に最善を尽くす。(健康確保の方針)
Ⅲ 施設、設備等への事前の対策実施と災害時行動計画策定および訓練等により、事前対策を強化する。

Point
基本方針に、職員、家族等の身体、生命安全を守ることを示している

イメージ画像

健康確保の方針がBCPに策定されていなかった事態のイメージ画像をAIで作成しました。

Screenshot