病院BCP良好事例 〜過重労働〜

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「過重労働対策」の必要性

災害時には、病院職員は長時間勤務に従事せざるえない状況に陥ります。その結果、長時間勤務による健康問題(脳・心血管疾患やメンタルヘルス不調)を起こす可能性があります。BCPに過重労働対策を策定することで、長時間労働による健康問題を予防・低減することが期待されます。

具体的な健康確保の施策の例:

・勤務可能な職員をリストアップし、調整する。
・職員の不足が見込まれる場合は、早めに応援職員の要請も検討し、可能な限り長時間労働を予防する。
・連続した長時間労働を余儀なくされる場合、週1日は完全休みとする等、一定時間休めるようシフトを組む
・産業医等の過重労働面談
・災害対策本部で時間外労働従事状況を共有する補足:
使用者の安全配慮義務の観点からも、職員の過重労働への適切な措置を講じることが使用者の責務となります。
参考)
労働契約法第 5 条 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする ものとする」

良好事例

良好事例1

(X)職員の健康管理

職員の過重労働防止

○職員の安全健康管理を最優先し、過重労働を避けるシフト表の作成、適切な労働時間管理、休日、休暇の付与を適切に行う。週に一日は完全休日の日を設ける。原則当直明けは12時までに帰するようにする。

○特定の職員(医師、看護師、事務担当等)に業務が重ならないように、業務のローテーションの工夫、複数担当者制などを検討する。

○ひと月あたりの残業が60時間を超えたものは産業医の面談を行い、健康状態等へ助言指導する。

Point
過重労働を防止するための具体的な対策を複数記載

良好事例2

手術室
時系列区分…中長期(8日~1ヶ月)

活動内容
口 災害医療の継続
口緊急手術から通常の予約手術へと切替えてい
 ・勤務調整を行い職員の疲労軽減に努める。
口 ○○病院支援看護師・救護班を含めた支援隊と協力しながら、引き継ぎを行う。

Point
勤務調節による負担軽減

良好事例3

②職員の持続可能な勤務のための措置

本部業務に従事する職員の健康管理に留意するとともに、職員の交代による勤務体制を整え、勤務時間終了職員は必ず帰宅させます。なお、帰宅困難な場合は、院内に確保する休憩、仮眠スペースで休養をとることとします。

Point
過重労働を防止し持続可能な勤務のため、勤務終了後に帰宅させる

良好事例4

高リスク者の事前想定(健康障害ハザードレベルHH A~D Dほど強い):
  就業配慮実施中のもの(HH;D) 
  本人が被災し何らかの体調不良をきたしたもの(HH;D)
  過去3年以内に健康面で就業配慮を受けた実績のあるもの(HH;C)
  家族が被災し死亡・入院等の措置が必要なもの(HH;C)
  救急部など被災患者の直接的な対応・トリアージ対応するもの(HH;C)
  クレーム対応・広報担当部門(医療支援課、広報等)HH;B)
  病院長、副院長、災害対策本部長など管理部門(HH;B)
  その他(HH;A) 高リスク環境の事前想定(健康影響曝露指標HE 1~3 3ほど強い):
  連続48時間以上勤務時間曝露(HE;3)
  連続36時間以上勤務時間曝露(HE;2)

  週80時間以上の勤務(HE;3)
  週60時間以上の勤務(HE;2)

  普段死体を見ない職種が死体を見る場合(HE;2)

発災後4週間
・過去3年以内に就業配慮を受けた実績のあるものを順次面接を実施、必要に応じてフォローアップを実施する。
・過重労働の面接指導の再開

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