病院BCP 「過重労働対策」の策定

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「過重労働対策」の必要性

災害時には、病院職員は長時間勤務に従事せざるえない状況に陥り、脳・心血管疾患やメンタルヘルス不調などの健康問題を起こす可能性があります。BCPに過重労働対策を策定することで、長時間労働による健康問題を予防・低減することが期待されます。使用者の安全配慮義務の観点からも、職員の過重労働への適切な措置を講じることが使用者の責務となります。

「過重労働対策」の策定例

6.3.2長時間労働対応
6.3.2.1人事課との連携
人事課と連携し、労務管理の情報を入手する

6.3.2.2本部への助言
災害対策本部会議で長時間労働に対する注意喚起を行う

6.3.2.3面談
以下の者には、産業保健スタッフが面談を翌月までに実施する。
・月80時間以上の勤務に従事した者

収集したBCPの良好事例

事例1

(X)職員の健康管理

①職員の過重労働防止
○職員の安全健康管理を最優先し、過重労働を避けるシフト表の作成、適切な労働時間管理、休日、休暇の付与を適切に行う。週に一日は完全休日の日を設ける。原則当直明けは12時までに帰するようにする。
○特定の職員(医師、看護師、事務担当等)に業務が重ならないように、業務のローテーションの工夫、複数担当者制などを検討する。
○ひと月あたりの残業が60時間を超えたものは産業医の面談を行い、健康状態等へ助言指導する。

Point
過重労働を防止するための具体的な対策(シフト表の作成、労働時間管理、休日・休暇の付与、ローテーション勤務、産業医面談)を示している

良好事例2

高リスク者の事前想定(健康障害ハザードレベルHH A~D Dほど強い):
  就業配慮実施中のもの(HH;D) 
  本人が被災し何らかの体調不良をきたしたもの(HH;D)
  過去3年以内に健康面で就業配慮を受けた実績のあるもの(HH;C)
  家族が被災し死亡・入院等の措置が必要なもの(HH;C)
  救急部など被災患者の直接的な対応・トリアージ対応するもの(HH;C)
  クレーム対応・広報担当部門(医療支援課、広報等)HH;B)
  病院長、副院長、災害対策本部長など管理部門(HH;B)
  その他(HH;A) 高リスク環境の事前想定(健康影響曝露指標HE 1~3 3ほど強い):
  連続48時間以上勤務時間曝露(HE;3)
  連続36時間以上勤務時間曝露(HE;2)

  週80時間以上の勤務(HE;3)
  週60時間以上の勤務(HE;2)

  普段死体を見ない職種が死体を見る場合(HE;2)

発災後4週間
・過去3年以内に就業配慮を受けた実績のあるものを順次面接を実施、必要に応じてフォローアップを実施する。
・過重労働の面接指導の再開

Point
過重労働面談の対象者や、過重労働の面接指導の再開時期を示している

イメージ図

「過重労働対策」がBCPに策定されていなかった事態のイメージ画像をAIで作成しました。

Screenshot
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