病院BCPの良好事例 〜安否確認〜

「安否確認」の必要性

職員の安否確認は、災害時に従業員の安全を確保するための最初のステップです。迅速に従業員の状況を把握し、必要な救援活動や避難指示を的確に行えるようになり、被害(二次被害含む)を最小限に抑え、従業員の生命を守ることができます。安否確認が迅速かつ確実に行われることで、誰が無事で、誰が支援を必要としているかが早期に把握でき、BCPの次のステップである業務再開の計画を迅速に立案し、必要なリソースを適切に配分することが可能になり、病院機能維持が促進されます。安否確認をBCPに明記することで、災害時の連絡網やコミュニケーション手段が事前に整備されます。これにより、混乱を防ぎ、従業員やその家族などとのコミュニケーションが維持されます。

良好事例

良好事例1

職員及び職員家族の安否確認と参集可否の連絡

職員及び職員家族の安否確認は、下記方法により、所属長が集約し災害対策本部へ報告する。

ア)職員は、職員及び職員家族の安否について、所属長にメールで連絡すること。
イ)メールのタイトルは、「安否確認・〇〇〇〇(←氏名)」とし、メールの文面に、職員及び家族の安否を記入すること。
ウ)所属長のメールアドレスは、原則として、大学の公式アドレス を利用すること
エ)所属長は、職場にて職員の安否情報を集約し、災害対策本部へ報告すること。

Point
件名や送信先を指定することで連絡の迅速化

良好事例2

業務名…職員の安否確認【安否確認システムによる集約】
方針…院内外の職員の安否情報を一元的に管理し、その被災状況を把握する。
担当部門…災害対策本部
責任者…職員統括者 (代)人事課長(代)人事課所属の係長(代)勤務状況確認担当者
目標レベル…全職員の8割の安否状況を把握する。
目標時間…発災後 12時間以内に6割、3日以内に残数。

役割及び活動内容…院内在勤者に係る安否情報の集約。院外者に係る安否確認システムへの入力集計。

必要情報…記載済み安否情報集約様式、安否確認システム集計、端末システム不具合の場合の連絡先 : ○○-○○○○-○○○○
体制…勤務状況確認担当者 (代)災害対策本部員
物品…災害対策マニュアルに示す様式、安否確認システムの集計可能な端末 (代)最低限、紙面様式での集計は実施する。
場所…災害対策本部内 (代)外部との通信が可能な院内いずれかの場所

Point
指示命令系統や目標、物品等を具体的に記載
代案の準備、特に紙面での集計にも留意

良好事例3

(1)○○.com を利用した情報発信の実施
・△△で震度6弱以上の地震が発生した場合、あるいは本部長が必要と判断した場合に、本部職員担当(総務人事課)が、安否確認を行う。
・院内の状況、電車の運行状況、道路の状況等を発言する。
・発災直後から6時間は災害対策本部が対応し、その後、総務人事課に移行する。
・診療時間外の場合は防災センターが対応する。

Point
オンライン上で利用可能なサービスの導入

良好事例4

責任者…事務長
設置場所…1階医事班災害対策本部
連絡先…1階医事班 災害対策本部
構成要員…全職員総務踝

役割及び活動内容
《概要》
勤務職員の安否確認を行う

職員閉じ込め及び要救助者確認
①各部署のリーダーは、スタッフの安否確認を行う。部署内にいるスタッフの確認を行う。
②部署外にいるスタッフは、各所属部署に帰りリーダーに報告する。所属部署に帰れないスタッフは早急にリーダーにその旨連絡する。
③勤務中で安否確認が取れない場合、トイレ・エレベーター若しくは棚などの倒壊・ドアのゆがみ等で部屋に閉じ込められたり、負傷して動けない場合が想定される
④捜索はリーダーと連絡を取り行う救出を行う場合状況に応じ災対本部に連絡し行う

《手順》
1 各部署長は勤務者がいるか確認し、災害対策本部に報告する。
2 各部署からの「被害状況報告 発災直後報告・随時報告」を集め、同箱内の「発災後報告まとめ」に随時記録する。

・院内職員の被災状況確認、安否確認で職員がいない場合は、エレベータに閉じ込め、新館トイレ閉じ込め、
  負傷している場合などが考えられる。捜索は、危険回避に留意しながら行う。
 本部からメール送信…○○市あんしんほっとメールを送信し参集・安否確認を行う

現在不備のあるもの…現状、情報が災害対策本部に集中しすぎているため、看護部、中央診療部、等毎での人員の把握、配置要請が必要ではないか、○○市あんしんメール検討中

備考…院外職員は緊急連絡網を活用し安否確認する。
①部署毎、連絡網で連絡相手が出ない時は、衣の人に連絡する。
② 院外、参集職員は災害対策本部に参集してきた事を登録する。
③ 災害対策本部は参集職員を各部署への応援に配置する。

Point
パターン分類を行い混乱を防止
職員の負傷及び閉じ込めを想定

良好事例5

医師職員の安全確認と対応

i) 医師職員の範囲
各診療科の職員とは、常勤正職員、非常勤職員である所属医師と、当該科所属後期研修医と1、2年目のローテーター。

ii) 職員の安全確認から災害対策本部報告までの手順
【開院時】
責任者(各診療科部長、部長不在の場合は副部長)が安否確認後、災害担当副院長へPHSで連絡(PHS○○)、繋がらない場合は2階総合受付前の災害対策本部へ責任者が直接足を運ぶ。後期研修医は、所属している診療科でまとめる。
ローテーターは責任者(2名)が各学年をとりまとめて研修管理委員会委員長(PHS△△)に連絡または対策本部へ責任者が直接足を運ぶ。各責任者は全員の安否が確認できなくとも、発災30分後までに一度災害担当副院長(ローテーターは研修管理委員会委員長)または災害対策本部に連絡を入れる。

【閉院時】
責任者が登院後、2階総合受付前の災害対策本部(または暫定災害対策本部)に直接連絡する。

iii) 負傷者の対応
負傷者が出た場合、当該診療科部署内で処置可能であれば処理し、災害対策本部に報告する。処置不能な負傷であれば責任者が災害対策本部に連絡し、指示を仰ぐ。

Point
適応範囲、開院・閉院時、負傷者等の対応の明確化

良好事例6

初動・復旧対応手順書

3.3(職員の安否確認)

〇平日日勤対応
職場責任者は「○○_被害状況確認チェックシート」を用いて、出勤中職員の安否確認を実施し、安否情報をとりまとめること。なお、勤務外・休務・外出中の職員の安否確認についても忘れずに行うこと。

〇夜勤・休日対応
夜動・休日時間部にBCPの発動基準(図表2を参照)を満たす事象が発生した場合、下記の~③の安否確認手段を用いて、職員の安否確認を行う。安否確認の実施にあたっては、①安否確認システムを最優先としつつ、状況に応じて②メールによる安否確認を行い、“災害用伝言ダイヤルによる安否確認”は録音件数の少なさから最終手段とする。職場責任者は職員の安否情報をとりまとめること。

① 安否確認システムによる安否確認
当院は△△社の「安否確認サービス」を契約しており、BCP発動基準の指定災害時には自動的に安否確認が発言される。職員は自身の安否情報を可及的速やかに返する。
職場責任者はシステムで自職場の職員の安否を確認し、安否情報を職員統括部門に報告すること。

② メールによる安否確認
ネットワーク障害、サーバー障害などで上記手段が使用できない場合はSMS(ショートメッセージサービス)により職場責任者の携帯電話にメッセージを送情する。なお、脅威発生時には通言規制がかかることも想定されることから、送信メールの容量を抑えつつ、必要事項を確実に伝達するため、下記のルール(図表6を参照)に従って“本文に以下内容を入力し送信すること。

③ 災害用伝言ダイヤルによる安否確認
職員は上記いずれの手段も利用出来ない場合、最終手段として「災害用伝言ダイヤル」(図表7を参照)を利用し、自身の安否情報(出勤可否を含む)を録音すること。職員統括部門は安否確認システムで 1~2時間おきに伝言ダイヤルを確認する。

※固定話や携帯話が使用出来ない場合は、災害時先電話(公衆電話)を活用すること。

Point
自自動安否確認システムの活用
安否確認の詳細なフローを作成

良好事例7

職員および職員家族の安否確認と参集可否の連絡

自主参集基準に該当しないが、職員に登院を要請する場合は、職種ごとに下記のルールで連絡を行う。

診療部(医師):電話交換より各診療科医に連絡。拘束医と院内災害対策本部の判断で、当該診療科応援医師を呼び出すかどうか決定する。災害の規模によっては、全医師の呼び出しも検討する。
看護部:各病棟の連絡網をもとに連絡する。
コメディカル:各部門の連絡網をもとに連絡する。
事務部:令和2年4月に作成したLINE グループを使用する。

Point
職種毎に連絡手段を確立

良好事例8

職員および職員家族の安否確認と参集可否の連絡
職員およびその家族の安全が、医療継続の要である。当病では職員の安否確認とともに、参集状況予測につなげるため、「安否確認システム」を導入する。

【地震発生時の安否確認システム運用】
・○○地域で震度5強以上の地震発生(職員全員自主参集)の場合

1 災害対策本部から掲示板に初動の指示(安否登録の依頼)
2 各職員はシステムへ返信…ア.職員の安否 イ.現在位置 ウ.参集可能時間の見込み
3 災害対策本部はシステムを利用して返信状況を集計し、参集可能人員予測を行う

※【職員家族の安否確認】
勤務時間内に発災した場合、職員は職場において非常時優先業務に従事する。その場合でも安心して職務に専念できるようにするため、普段から家族で非常時の連絡方法(災害伝言ダイヤル、災害用伝言板等)を確認しておく。

伝言ダイヤル再生操作方法
① 「171」をダイヤルする。
② 「2」を押す。
③ 市外局番から「自宅の電話番号」を押す。
④ 「1」「#」を押す。
⑤ 録音内容を聞く。

Point
職員が安心して働けるよう、家族の安否も確認

良好事例9

3 安否確認

4.3.3.1 病院における安否確認系統

病院は、災害発生時には災害時医療体制を速やかに立ち上げ、病院としての機能を最大限に発揮、活用することを目的に、以下3系統による安否確認を並行して実施する。

1.発災時報告・定時報告(「災害対策マニュアル」および7.1各種報告様式参照)
各部署は、○○システムを用いて、発災時報告(発災15分以内)、定時報告(初回は発災 60分以内、以降定時)を行い、負傷者(患者含む)の有無等を災害対策本部に報告する。

2.各部署メンバーリスト
① 各部署は所属部局の別ではなく病院兼務者を含む居住者名簿であるメンバーリストにより、目視又は可能な通信手段を用いて構成員一人一人の安否確認を進める。
② 各部署は、メンバーリストの作成にあたり、上記①を実施する以下の者について検討のうえ決定すること。

(安否確認担当者等)
1) 安否確認担当者  2) 上記担当者不在時の代行者(優先順位を付し複数名)

3. 安否確認システム(Emergency Call)
本学では、構成員の状況を速やかに把握するための安否確認の補助的手段として、平成26年10月から安否確認システムを導入しており、全学一斉に発出される安否確認メールに対して構成員が応答することにより一人一人の安否確認が行える。発災時に院外・学外にいる者の安否確認手段として有用であり、定期的に本システムへの携帯メールアドレス事前登録と安否確認メール受時の応答について周知・訓練する。

Point
発災時に加え、定期的に安否の報告

良好事例10

災害発生時における安否確認体制・手順

災害発生時(災害対策本部設置時)における安否確認体制・手順は、次のとおりとする。

◎災害対策本部長(病院長)
①当院に属する構成員の安否確認業務を統括する。

~発災直後の初動~
○各部署の長(不在時は、直近下位の者)
① 各部署内の点呼(各部署メンバーリストを用いて負傷者の有無等を把握)
② 災害対策本部に発災時報告(発災15分以内)にて負傷者の有無等を報告。なお、自衛消防隊が立ち上がっている場合には、まずは同隊避難誘導係への報告を行い、その後、災害対策本部に発災時報告。
③ 各部署メンバーリストにより構成員一人一人の安否確認を進めるとともに、災害対策本部に定時報告(初回発災 60分以内、以降定時)にて負傷者の有無等を報告。災害対策本部にて安否情報の集約のため求めがあった際にはメンバーリストを提出。

〇事務部総務課(安否確認チーム)
① 各部署からの発災時報告により負傷者の有無等を把握、災害対策本部長(病院長)に報告後、本部BCP 様式別紙4(1)「被災状況等連絡表」により、大学対策本部の情報整理班に報告。

○本部総務課(安否確認チーム)
① 各部署からの定時報告(初回発災60分以内、以降定時)にて負傷者の有無等を把握。安否情報を集約する際には各部署にメンバーリストの提出を求める。
② 各部署メンバーリスト、安否確認システムをモニタリングし、未回答者の安否を追跡確認(電話等)、安否確認システムへ代理登録。大学対策本部情報整理班に定期連絡を行う。

Point
詳細な代替方法の準備
チーム別の役割分担