病院BCPの良好事例 〜ローテーション勤務〜

「24時間勤務体制」の必要性

病院は災害時にも医療提供を24時間の勤務体制で継続的に提供することが求められます。

24時間の勤務体制を組みためには、医療スタッフが交代制・ローテーション制で勤務することが必要です。災害時に出勤できる病院職員が減ることや、普段は交代制勤務を組まない部署・人員についても24時間勤務を想定しておくことも検討されます。急性期には人員が大きく減少することや、受援のためのローテション勤務も検討されます。具体的な健康確保の施策の例:
・交代制、ローテーション勤務
・非常時の人員の確保(予算含む)
・外部との連携(支援・受援体制)

良好事例

良好事例1

①フェーズⅠ・・・災害対応初期は、特に臨機応変な活動が求められるため、休息の判断は、職員自身、部署リーダー及び本部の判断において適宜行い、栄養・水分補給、トイレや休憩(短期)の際は部署リーダーに報告する。

②フェーズⅡ・・・原則、交代制を取る。本部は事前に支援医療チーム等を加味した交代制案を作成し、部署リーダーが調整し実施する。
休息に入る際は、本人が本部に行き、本人所属の部長等と職員ホワイトボードのネームを休息先等の場所に移動する。
(所属部長は職員の体調に注意を払う)また、医療救護活動中の休息場所はリハビリテーション科(変更の際は本部が周知)とする。
但し、各自の部署内などでの休息も可とする。

③フェーズⅢ・・・通常の勤務体制移行を加味した交代制を行う

Point
フェーズに合わせた勤務体制の変化
本部が原案を作成した上で、部署毎で調節できる体制を確立

良好事例2

部門…高度救命救急センター
災害レベル…災害レベルⅢ
・○○観測所で水位7.1mを観測し、「はん濫危険水位」に到達。
・△△市が「はん濫危険情報」を発表。
・△△市が「避難指示(警戒レベル 4」を発令。
※状況に応じて変更の可能性あり

【人員面】
職員管理>
・宿泊希望者数(帰宅困難者、出勤困難者の前泊)追加の確認
・本部から指定された宿泊場所を職員に伝達
・本部の方針に沿って職員へ帰宅、登院に係る伝達
・出勤不可能数の把握、応援が必要な場合看護部に連絡
・帰宅困難救命センタースタッフのシフトを2グループとし、周知する。休憩時間や休息の確保ができるよう調整する。
・避難病棟の状況を確認し、必要時調整を行う。

Point
2グループのシフト体制を設けている

良好事例3

健康管理

課題:従事する教職員の最低限の健康管理には留意しなければならない。

対策:避難所業務のように、実際に休憩時間の確保が困難な業務については、教職員の勤務が長時間にわたらないように、
交替の教職員を派遣して休憩をとらせるなど健康に配慮しなければならない。
また、災害対策の長期化に備えて勤務班と休憩班を分けて交互に勤務に当たる交替勤務制の実施も検討する。
職員は、交代制で勤務する場合については、原則として帰宅しない日が3日を超えることがないようにする。

Point
多忙が想定される業務に対して事前に人員を派遣

良好事例4

交代勤務

・大規横な災害であるほど、対応は長期間にわたります。一方で医療機関の業務は 24時間つねに継続することが求められるため、
  これを担う職員は必ず交代して休養をとりながら勤務する必要があります。

・施設全体としても、対応の初期の段階から職員の交代を見据えておかなければなりません。必ずしも最初から職員の全員参集をしない、
  勤務のローテーションを早期に作成するなどの工夫が重要です。職員個人としては、施設の方針を事前に把握し、
  対応を準備しておく必要があります。

Point
職員を段階的に参集することで交代要員を確保

良好事例5

統括責任者…1.○○院長補佐

看護部担当者…1. △△部長 2.入院・外来統括次長

事務部担当者…1. □□課長 2. ××課長補差

集合場所…災害対策本部 火災:防災センター 地震・その他の災害:中央会議室

業務内容
職員の安否確認及び参集状況把握
・災害対応の人員配置及び労務管理
・帰宅困難者、職員家族の休憩所管理

① 職員の安否確認情報を情報統括Grに確認する。
② 在院者数及びけが人の状況を情報統括Grに確認する。
③ 職員参集受付を医局管理棟地下1階大会議室前に設置するよう職員家族対応班に指示する。
職員の勤務状況を確認し、シフト体制を調整するよう職員配置に指示する。
⑤ 職員と家族の休憩所を開設するよう職員・家族対応班に指示する。
⑥ 応援が必要な部署には人選し応援班を編成するよう救出・救護・応援班に指示する。

Point
指揮命令系統及び業務内容の明確化

良好事例6

職員配置班
担当部署…看護部管理室専門看護室
集合場所…災害対策本部(数名) 看護部管理室(職員配置調整)
業務内容…救出・救護応援班の人選及び、派遣業務調整及び勤務シフトの調整、災害規模による体制の変更に対応した人員配置

① 2~3名は災害対策本部に移動する。
② 残りの職員は看護部管理室で業務を行う。
③参集職員の人数、職種を職員・家族対応に確認し把握する。
④本部からの応援要請に適した人員を選出し、派遣する。
⑤ 災害対応が長期化した場合にはシフトの調整を行う。
⑥強化する業務、縮小する業務を考慮し、人員配置を行う。
⑦ ボランティアや応援者の配置を決定する。

Point
災害規模による体制の変化に対応した人員配置

良好事例7

開設レベル…災害レベル:3
責任者…①○○ ②△△
設置場所…4 階看護部長室・災害対策本部
連絡先…4階看護部長室・災害対策本部
構成要員…外来看護師・病棟看護師・看護部長・総務部・医事係

役割及び活動内容

1・医師
①夜間、土日、祭日は当直医師、各科コール医師で6名になる。ほとんどが××市内からの通勤である。夜間に発災した場合は、□□市内在住の6名で対応する事となる。夜間当直医師は院外医師でも夜間は暫定本部長として院長が来院するまで指標をとる。
② 平日、日勤は常勤が11名なので、発災直後は在院医師だけでローテーションを組む。24時間以降は落ち着けば勤務表を作成する。

2・看護師
① 夜間、土日、祭日は看護師数が平日より少ない為、24時間過ぎれば状況が分かってくる。24時間以後は在院、
  参集看護師で勤務ローテーション表を作成する。
② 看護職員は自分の家族等の避難の問題に目途がたてば参集する事をお願いする。

3.コメディカル
① 夜間、土日、祭日は平日より少ない為、24時間過ぎれば状況は分かってくる。各部署、勤務ローテーション表を作成する。
② 職員は自分の家族等の避難の問題に目途がたてば参集する事をお願いする。医師、看護職は患者を看ていかなければいけないのでコメディカルの応援がないと思うように活動ができない。必要物品(保管場所・数量)…勤務白紙用紙・筆記用具。
備考…ローテーションできるほどの参集職員が確保できるか不明。

Point
役職毎に発災時の状況に応じたローテーションを組む

良好事例8

重要業務(大項目)…生活支援

重要業務(中項目)…職員(交替勤務、食事、睡眠、その他の生活支援等)

(6時間以内)
ロ 職員の勤務体制(交代制度、代替要員)について方針検討を開始する

(12時間以内)
職員の交代勤務を開始する

(3日以内)
ロ 支援要員及び職員の食事について、○○大学附属病院長会議に支援を依頼する

(1週間以内)
口 職員家族の被災状況について、スクリーニングを開始する

Point
時系列に沿った業務内容を規定
長期に及ぶ場合は外部への支援や家族の被災状況も考慮

良好事例9

(3) 臨時勤務体制について

参集職員の休息場所は、原則として3階西病棟 屋内退避施設エリアとする。
臨時勤務体制をとるかについては次による。

ア 2日程度で災害時対応が終了する場合(DMAT出勤がない)
原則として、臨時勤務体制はとらない。2日程度で災害時対応が終了する場合、臨時に編成された各班リーダーの判断により適宜休息をとる。

イ 災害時対応が3日以上の長期に及ぶと判断される場合(DMAT出動もあり)
(ア)災害時対応を開始してから2日目以降については、原則として参集可能な職員を3個クルーに分け臨時勤務体制で対応する。
(イ) 3個クルー編成以降は、原則として8時間勤務の臨時勤務体制で対応する。

Point
ケース別に臨時勤務体制をとる

良好事例10

メンバー…職員配置・安全班
対応組織…経営管理部員(人事係中心)
組織化順位…A

役割
参集した在院職員、召集された職員に対し役割を任命
職員の配置状況をホワイトボードに掲出
各班の職員の過不足や勤務状況に基づき、職員を再配置
各班に勤務している職員の以下の情報を定期的に収集
 ・各班の統括者および担当者の氏名
 ・各班の職員数
 ・各職員の勤務時間、体調など
職員の仮眠場所確保

Point
職員の人数や勤務時間、体調といった状況の変化に合わせて勤務調節